40代の転職市場のいま|求人は増えているのに、選考は厳しい理由

⑨ トレンドから学ぶ

40代の転職市場のいま|求人は増えているのに、選考は厳しい理由

※本記事内の写真・画像はすべてイメージです。

✅ この記事の結論

  • ミドル世代の求人は、増える方向で予測されています
  • ただし、選考は厳しくなっていると感じる人が多数です
  • 企業が求めているのは「数」ではなく「質」。準備の差が結果を分けます

「40代の転職は厳しい」

そう聞く一方で、「人手不足だからチャンス」という話も耳にします。

どちらが本当なのでしょうか。

結論から言うと、両方とも本当です。 ただし、意味が違います。

この記事では、その中身を整理します。

🔹 求人は増える方向にある

転職支援を行うエン・ジャパンが、転職コンサルタントを対象に行った調査があります。

そこでは、2026年に35歳以上のミドル世代を対象とした求人が「増加する」と予測した人が81%にのぼりました。

増える理由

理由の1位は、若手人材の不足による採用年齢の幅の拡大でした。

若い人を採りたくても採れない。だから、採用対象の年齢を上げざるを得ないという構図です。

どこで増えるか

調査によると、求人が増えると予測された領域はこうです。

  • 年齢層:40代前半(71%)
  • ポジション:課長クラス(69%)
  • 業種:建設・不動産(45%)
  • 職種:技術系(IT・Web・通信系)(35%)

注目したいのは「40代前半」という点です。

40代後半から50代については、採用側の成功体験が少なく、まだ慎重な傾向があると指摘されています。

つまり、同じ40代でも、前半と後半で企業の見方が違うということです。

🔍 それでも「厳しい」と感じる理由

一方で、実際に転職活動をした人の実感は違います。

人材サービスのワークポートが2026年春に行った調査では、人手不足の状況でも約6割が「買い手市場」と感じているという結果が出ました。

具体的な声

調査で挙がった声には、こんなものがあります。

  • 「以前は書類選考をパスして面接まで行けたが、いまは書類選考すら通過しない」(40代・建築土木)
  • 「面接での質問がより専門的になり、具体的な実績やスキルを詳しく問われるようになった」(30代・製造)
  • 「未経験者歓迎の求人でも、面接まで辿り着けない企業が多い」(20代・製造)

求人はある。でも、通らない。

何が起きているのか

企業が「数」ではなく「質」を求めるようになったというのが、この現象の背景です。

以前なら「まず会ってみよう」だったところが、書類の段階で絞り込まれるようになりました。

つまり、こういうことです。

以前いま
求人の数少ない増えている
選考の基準会ってから判断書類で絞る
求められるものポテンシャル具体的な実績

「求人が増えている」と「受かりやすい」は、まったく別の話なのです。

🔹 市場全体の数字

参考として、公的な統計も見ておきます。

厚生労働省の一般職業紹介状況によると、令和8年1月の有効求人倍率は1.18倍、新規求人倍率は2.11倍でした。

1を超えているので、求職者1人に対して1件以上の求人がある状態です。

ただしこれは全体の数字で、職種や地域によって大きな差があります。自分の分野がどうかは、別に確認する必要があります。

🔹 40代が準備すべきこと

「書類で落ちる」という現実に対して、できることを整理します。

1|経験を「実績」に翻訳する

40代でいちばん多い失敗が、職務経歴書が「やってきたこと」の羅列になっていることです。

書き換えの例

弱い書き方伝わる書き方
営業を15年担当既存顧客50社を担当し、3年で売上を1.4倍に
チームをまとめた8名のチームを率い、離職率を年20%から5%に
業務改善を行った手作業の集計を自動化し、月40時間を削減

数字が入ると、書類が通る確率は変わります。

「うちの仕事は数字にしにくい」と思うかもしれませんが、期間・人数・件数・頻度のどれかは必ずあります。

2|「課長クラス」の需要を意識する

求人が増えると予測されたポジションの最多が、課長クラスでした。

理由として、こうした指摘があります。

  • 事業をリードする部長職以上が不足している企業が多い
  • 部長クラス以上をいきなり採用するのはリスクがあるため、課長以下の採用が増える
  • 課長クラスは即戦力で、プレイヤーとしても活躍が見込める

つまり、「マネジメントもできるが、自分でも動ける」という人材が求められています。

管理経験があるなら、部下の人数、担当した予算規模、育成の実績を整理しておいてください。

3|40代後半なら、早めに動く

40代後半から50代については、企業側がまだ慎重という指摘があります。

同じ準備をするなら、1年でも早いほうが有利です。

4|応募数の想定を変える

書類の通過率が下がっている以上、以前と同じ感覚では足りません。

3社受けて決まる、という想定だと苦しくなります。時間と件数に、余裕を持ってください。

🔹 転職しない、も選択肢

この記事で、あえて書いておきたいことがあります。

転職は手段であって、目的ではありません。

まず「何が不満か」を分ける

  • 給与が不満なのか
  • 人間関係が不満なのか
  • 仕事の中身が不満なのか
  • 将来性が不安なのか

転職で解決するものと、しないものがあります。

たとえば「なんとなくつらい」という状態で転職すると、環境が変わっても同じ状態になることがあります。

社内で動く選択肢

  • 部署異動を希望する
  • 役割を変える
  • 働き方(時間・場所)を交渉する

転職より、こちらのほうが早く実現することもあります。

情報収集だけ先にやる

すぐ動かなくても、市場価値を知っておくことには意味があります。

  • 転職サイトに登録して、どんなスカウトが来るか見る
  • 同業他社の求人条件を眺める

「動ける」と知っているだけで、今の職場での気持ちが変わることもあります。

🚀 進め方の順番

1|職務経歴書を先に書く(所要3〜4時間)

応募先を探す前に、これを書いてください。

書いてみると、自分の実績が整理されます。そして、足りない部分も見えます。

2|数字を入れる(所要1〜2時間)

期間、人数、件数、金額、削減時間。思い出せる範囲で構いません。

3|市場を見る(所要1時間)

自分の職種・年齢で、どんな求人があるかを確認します。

条件が合わないなら、そこがギャップです。

4|必要なら埋める

資格、スキル、経験。すぐに埋まらないものもあります。

だからこそ、早く知ることに意味があります。

🔹 3人の40代の動き方

Rさん(42歳・メーカー営業)|書類が通らなかった

最初の1か月:8社応募して、書類通過はゼロ。

職務経歴書を見直したところ

「法人営業を18年担当。新規開拓および既存顧客のフォローを実施」

これだけでした。

書き直した内容

「製造業向け法人営業として、既存顧客60社を担当。うち上位10社への提案を組み替え、担当エリアの売上を3年で1.3倍に。後輩4名の同行指導も担当」

次の1か月:6社応募して、書類通過3社。

Rさんの気づき:「やってきたことは同じ。書き方を変えただけだった」

Sさん(46歳・経理)|早めに動いた

きっかけ:会社の先行きに不安を感じた。すぐ転職する気はなかった。

やったこと

  • 転職サイトに登録して、どんなスカウトが来るか3か月観察
  • 自分の年齢・経験で、どんな条件が提示されるかを把握

結果:想定より条件が悪くなかったため、焦らず選べる状態になった。

Sさんの感想:「動かなくても、市場価値を知っているだけで気持ちが違った」

40代後半は企業が慎重になる傾向があるため、早く知ることに意味があります。

Tさん(44歳・IT)|転職しない選択をした

不満は「給与が上がらないこと」でした。

転職活動をしてみた結果

  • 提示された年収は、現職とほぼ同額
  • 通勤時間は伸びる
  • 裁量は現職のほうが大きい

Tさんの判断:転職せず、社内で役割の変更を交渉した。

「外を見たから、中の良さがわかった」とのことです。

3人からわかること

転職活動と転職は、別のものです。

活動してみて「動かない」と決めるのも、立派な結論です。

🔹 面接で聞かれやすいこと

40代の選考では、質問の傾向があります。

質問何を見ているか
なぜこの年齢で転職を?動機が前向きか、逃げではないか
これまでの実績を具体的に数字で語れるか
年下の上司でも大丈夫か柔軟性があるか
何ができますか即戦力かどうか
前職を辞める理由は?同じ理由でまた辞めないか

「年下の上司」については、実際によく聞かれます。

40代を採用する企業では、上司が年下になるケースが多いためです。

ここで曖昧な答えをすると、懸念が残ります。「経験の浅い人からも学ぶ姿勢がある」ことを、具体的なエピソードで示せると強くなります。

💡 求人は増えても、通るとは限らない

この記事でいちばん大事な部分を、図で整理します。

同じ市場を、企業側から見るか求職者側から見るかで、まったく違って見えます。

どちらも事実です。だからこそ、求人があること自体を頼りにしないほうがいいというのが実際のところです。

🔹 職務経歴書を書き直す手順

書類で落ちているなら、ここを直すのがいちばん早いです。

ステップ1|担当した仕事を全部書き出す

きれいにまとめようとせず、思い出す作業です。

  • 担当した業務
  • 関わったプロジェクト
  • 教えた後輩
  • 改善したこと

ステップ2|数字を探す

書き出したものに、数字を足していきます。

探す種類
期間3年間、半年で
人数8名のチーム、50社を担当
金額・件数年商◯億円の顧客、月200件
変化1.4倍に、20%削減
順位・割合部内1位、達成率120%

「うちの仕事は数字にできない」と思っても、期間と人数は必ずあります。

ステップ3|1行で言えるようにする

冒頭に、自分を要約する一文を置きます。

「製造業向けの法人営業を18年。既存顧客の深耕と、後輩育成を中心に担当」

採用側は、最初の数行で判断します。

ステップ4|応募先ごとに調整する

同じ書類を使い回すと、通りにくくなります。

求人票に書かれている「求める経験」に、自分のどの経験が対応するかを意識して並べ替えてください。

かかる時間

最初に書くのに3〜4時間。 以降は調整だけなので、1社あたり30分ほどです。

この時間を惜しむと、応募数だけが増えます。

🔹 あわせて読みたい

転職を考えるとき、資格とスキルの棚卸しは避けて通れません。

❓ よくある質問

Q. 40代で未経験の業種に移れますか?

同職種・同業種と比べると、難易度は上がります。

ただし、これまでの経験が活かせる形(職種は同じで業種が違う、など)なら可能性はあります。

Q. 年収は下がりますか?

上がる場合も、下がる場合もあります。

「下がっても、他の条件が改善されるなら受け入れるか」を先に決めておくと、判断がぶれません。

Q. 転職エージェントは使うべきですか?

書類の書き方や、市場の相場を知るうえで役に立つことがあります。

ただし、エージェントにも事情があります。 複数に登録して、比べてみてください。

Q. 何社くらい応募するものですか?

一概には言えませんが、書類通過率が下がっている現状では、以前より多く必要と考えておくほうが安全です。

Q. 在職中に活動すべきですか、辞めてからですか?

在職中をおすすめします。

収入が途切れないため、条件で妥協しにくくなります。焦りは、判断を鈍らせます。

📝 まとめ

  • ✅ ミドル世代の求人は、増える方向で予測されている
  • ✅ ただし選考は厳しく、書類で落ちる人が増えている
  • ✅ 増加が見込まれるのは、40代前半・課長クラス・建設不動産・IT系
  • ✅ 40代後半は企業がまだ慎重。動くなら早いほうがいい
  • ✅ 準備の中心は、経験を数字で語れる形に翻訳すること

まず今週、ひとつだけやってみてください。

職務経歴書を、数字を入れて書き直す。

転職するかどうかは、そのあと決めれば大丈夫です。

本記事で紹介した調査結果は、各機関が公表した時点のものです。市場の状況は変化するため、最新の情報をご確認ください。

📚 参考文献・出典

  1. エン・ジャパン「2026年ミドルの求人動向 調査」
    https://corp.en-japan.com/newsrelease/2025/43751.html
  2. ワークポート「2026年春の転職市場動向に関する調査」
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000289.000039106.html
  3. 厚生労働省「一般職業紹介状況」

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