教育費のピークはいつ来るか|逆算して備えるための考え方
※本記事内の写真・画像はすべてイメージです。
✅ この記事の結論
- 幼稚園から高校卒業までの15年間で、すべて公立なら約596万円、すべて私立なら約1,976万円
- 支出がいちばん重くなるのは、高校3年から大学1年にかけて
- 大事なのは総額を怖がることではなく、いつ・いくら要るかを把握すること
「教育費って、結局いくらかかるの?」
ネットで調べると、1,000万円という数字が出てきたり、3,000万円と書かれていたり。
幅が広すぎて、かえって不安になります。
この記事では、公的な調査をもとに、いつ・いくら必要になるかを整理します。
総額を眺めても対策はできません。ピークがいつ来るかを知ることが、備えの出発点です。
🔹 15年間でいくらかかるか
文部科学省の「子供の学習費調査」(令和5年度)では、幼稚園3歳から高校3年までの15年間の学習費総額が示されています。

すべて公立なら約596万円、すべて私立なら約1,976万円です。
多くの家庭が当てはまるのは、真ん中あたりでしょう。幼稚園だけ私立なら約647万円、幼稚園と高校が私立なら約776万円という試算も示されています。
ここに大学費用は含まれていません
重要な注意点です。
この調査は、幼稚園から高校までが対象で、大学・短期大学の費用は含まれていません。
大学進学を考えるなら、ここにさらに上乗せする必要があります。
🔹 学年別に見ると、負担は一定ではない
総額より大事なのが、時期による波です。
文部科学省の調査から、1年あたりの学習費(学校教育費・給食費・学校外活動費の合計)を見ると、こうなっています。
| 学校 | 公立(年額) | 私立(年額) |
|---|---|---|
| 幼稚園 | 約18万5千円 | 約34万7千円 |
| 小学校 | 約36万7千円 | 約174万2千円 |
| 中学校 | 約54万2千円 | 約156万円 |
| 高等学校(全日制) | 約59万7千円 | 約117万9千円 |
公立でも、学年が上がるほど増えていくのがわかります。
塾代が効いてくる
公立の小学校・中学校では、学習費総額のうち「学校外活動費」の割合が6割以上を占めています。
つまり、授業料より塾や習い事の支出のほうが大きいわけです。
これは家庭の方針で変わる部分なので、「必ずこの金額がかかる」というものではありません。
逆に言えば、コントロールの余地がある部分でもあります。
🔹 いちばん重いのは「高3から大学1年」

なぜこの時期が重いのか。理由は、複数の支出が重なるからです。
この1〜2年に発生するもの
- 受験費用(塾・予備校、模試、受験料)
- 受験のための交通費・宿泊費(複数校を受ける場合)
- 入学金
- 初年度の授業料
- 一人暮らしなら、引っ越しと家具家電
- 仕送りの開始
しかも、入学金と初年度授業料は入学前後にまとめて必要になります。
「毎月コツコツ」では間に合わない支出が、この時期に来るということです。
だから「いつまでに、いくら」で考える
総額1,000万円と言われても、身動きが取れません。
でも「18歳の春までに300万円」なら、逆算できます。
たとえば子どもが5歳なら、13年間で300万円。月あたり約1万9千円です。
この形にすると、対策が具体的になります。
🔹 大学費用はどう考えるか
大学の費用は、国公立か私立か、文系か理系か、自宅通学か下宿かで大きく変わります。
変動要因を整理する
| 要因 | 差が出るところ |
|---|---|
| 国公立 / 私立 | 授業料が大きく変わる |
| 文系 / 理系 | 理系は実験・実習の費用が上乗せ |
| 医歯薬系 | さらに大きく変わる |
| 自宅 / 下宿 | 住居費・生活費で数百万円の差 |
とくに、下宿するかどうかの影響が大きいという点は押さえておいてください。
学費は同じでも、家賃と生活費が4年分加わります。
具体的な金額を知るには
志望校が絞れてきたら、大学の公式サイトで「学生納付金」を確認してください。
初年度納付金と、2年目以降の年額が明記されています。
「だいたいこれくらい」で考えるより、実際の数字を見るほうが早いです。
🔹 備え方の考え方
特定の商品を勧めるものではありません。 一般的な選択肢の整理です。
1|児童手当を使わずに貯める
支給された分をそのまま別口座に入れておくだけで、まとまった額になります。
「あるものとして生活しない」のがポイントです。生活費に組み込んでしまうと、残りません。
2|自動で移す仕組みを作る
意志に頼ると続きません。給料日に自動で別口座へ移す設定にしてください。
金額は無理のない範囲で。続くことのほうが、金額より大事です。
3|学資保険は「向き不向き」がある
強制的に貯まるという利点がある一方、途中で解約すると元本割れする可能性があります。
- 途中で使う可能性があるお金 → 向かない
- 絶対に手を付けたくないお金 → 向くこともある
加入前に、返戻率と、途中解約時の扱いを必ず確認してください。
4|制度を確認する
授業料の支援制度や、奨学金には複数の種類があります。
制度は改正されることがあるので、そのときの最新情報を確認してください。
とくに高校の授業料に関する制度は、近年も見直しの動きがあります。
5|借りる選択肢も、最初から排除しない
教育ローンや奨学金は「失敗」ではありません。
すべてを貯蓄でまかなおうとして、老後資金を削ってしまうほうが問題になることもあります。
優先順位としては、老後資金を犠牲にしないことが挙げられます。教育費は借りられますが、老後資金は借りられません。
🔹 今からできる3つのこと
1|進路の「幅」を決める(所要30分)
すべて公立か、途中から私立か。
決めきる必要はありませんが、「私立中学は考えていない」といった方向性があるだけで、必要額の見当がつきます。
2|「18歳までにいくら」を決める(所要10分)
総額ではなく、目標額と期限を決めてください。
200万円でも300万円でも構いません。 数字があると、月々いくら貯めればいいかが出ます。
3|口座を分ける(所要30分)
生活費と同じ口座に置いておくと、必ず使ってしまいます。
教育費用の口座を作って、自動振替を設定する。ここまでやれば、あとは自動です。
🔹 3家庭の備え方
同じ「教育費を貯める」でも、家庭の状況で進め方が変わります。
Mさん(35歳・子ども5歳と2歳)|時間を味方にする
方針:進路は未定だが、大学進学は視野に入れている。
やったこと
- 児童手当を、そのまま別口座へ自動で移す
- それに加えて月1万円を積み立て
- 上の子が18歳になるまで13年、下の子は16年
「時間があるうちは、月々の額を抑えられる」のが強みです。
Mさんの気づき:「早く始めたら、月2万円弱で足りる計算だった。焦る必要がなくなった」
Nさん(42歳・子ども中学2年)|ピークが近い
方針:あと4年で大学入学。
やったこと
- 大学の初年度納付金を、志望校の公式サイトで確認
- 必要額から逆算して、月々の積立額を設定
- 足りない分は、奨学金の利用も想定に入れた
Nさんの判断:「全部を貯蓄でまかなおうとすると、老後資金が消える。借りる前提も含めて計画した」
これは現実的な判断です。 教育費は借りられますが、老後資金は借りられません。
Oさん(38歳・子ども小学3年と小学1年)|塾代の壁
悩み:中学受験を考えるかどうかで、必要額が大きく変わる。
やったこと
- 「中学受験をする場合」と「しない場合」の2パターンで試算
- 塾代を含めた3年間の追加費用を把握
- 家計が耐えられるかを、先に確認した
Oさんの結論:「やるかどうかより、やった場合にいくらかかるかを知らないまま突入するのが怖かった」
3家庭からわかること
年齢によって、打てる手が変わります。
| 状況 | 有効なこと |
|---|---|
| 子どもが小さい | 時間を使える。月々は少額でいい |
| ピークが近い | 具体的な金額を確認し、借りる選択肢も含めて計画 |
| 進路が分岐点 | 両方のパターンで試算しておく |
🔹 「習い事をどこまでやるか」問題
教育費の話で、実は家庭差がいちばん大きいのがここです。
データが示していること
文部科学省の調査では、公立小学校・中学校の学習費総額のうち、学校外活動費が6割以上を占めています。
つまり、授業料より塾や習い事のほうが大きいわけです。
増えやすい理由
- 周りがやっていると、やらせないことに不安を感じる
- 途中でやめさせるのが難しい
- 「本人がやりたがっている」と、削りにくい
気づくと、月に何万円にもなっています。
判断のしかた
削るかどうかを感情で決めると、後悔します。次の3つで整理してみてください。
1|本人が続けたがっているか
惰性で続いているものは、意外とあります。
2|家計の何%を占めているか
金額を出してみると、判断しやすくなります。
3|将来の教育費を圧迫していないか
今の習い事のために、大学費用の積立ができていないなら、順番を考え直す価値があります。
「やめる」以外の選択肢
- 週2回を週1回にする
- 個別指導を集団指導に変える
- 兄弟割引のある教室にまとめる
ゼロか100かではありません。
🔹 兄弟がいる場合の考え方
子どもが複数いると、教育費の設計は変わります。
年齢差による違い
| 年齢差 | 特徴 |
|---|---|
| 1〜2歳差 | 大学の時期が重なる。ピークが集中する |
| 3〜5歳差 | 一部重なる。中程度の負担 |
| 6歳以上 | 時期がずれる。負担は分散する |
とくに1〜2歳差は、大学の学費が同時期に発生します。
その時期に備えて、早めに積み立てておく必要があります。
平等にする必要はあるか
「上の子に使った分を、下の子にも」と考える家庭は多くあります。
ただし、進路も本人の希望も違います。
金額をそろえることより、それぞれの選択を支えられるかで考えるほうが現実的です。
兄弟間で差が出たとき
説明できる状態にしておくと、後で問題になりにくくなります。
「あなたのときは、こういう事情だった」と話せることが大切です。
🚀 進路が決まる前にできること
「どの進路か決まらないと計算できない」と思うかもしれません。
でも、決まる前にできることがあります。
幅で考える
最低ラインと、上振れしたときの額を、両方出しておきます。
- すべて公立で進んだ場合
- 私立を含む場合
この2つの差額が、備えるべき幅です。
早く始めることの価値
同じ300万円でも、期間が違えば月々の負担が変わります。
- 15年で貯めるなら、月約1万7,000円
- 5年で貯めるなら、月5万円
時間は、いちばん効く要素です。
進路が決まっていなくても、始めることには意味があります。
🔹 あわせて読みたい
学びの効率を上げる工夫は、子どもの勉強にも応用できます。
❓ よくある質問
Q. 子どもが2人いる場合は、単純に2倍ですか?
学費はほぼ2倍になりますが、教材や制服のおさがりなど、多少の重複は減らせます。
ただし、大学の時期が重なると、家計への負担は一気に大きくなります。年齢差によって、ピークの形が変わります。
Q. 私立中学に入れると、どれくらい変わりますか?
調査によると、中学校の学習費総額は公立で年約54万2千円、私立で年約156万円です。
3年間の差は、単純計算で300万円ほどになります。
Q. 塾代はどれくらいかかりますか?
家庭によって大きく変わります。
公立小中学校では、学習費総額のうち学校外活動費が6割以上を占めているというデータがあります。ここが最も家庭差の出る部分です。
Q. 今から始めても間に合いますか?
子どもの年齢によります。
間に合わないと感じたら、貯蓄だけに頼らない方法(奨学金など)も含めて計画を立ててください。
早く知ることの価値は、選択肢が増えることにあります。
Q. 教育費と老後資金、どちらを優先すべきですか?
一般的には、老後資金を極端に削らないほうがよいとされます。
教育費は借りる手段がありますが、老後資金にはそれがないためです。
📝 まとめ
- ✅ 幼稚園〜高校の15年間は、すべて公立で約596万円、すべて私立で約1,976万円
- ✅ この数字に大学費用は含まれていません
- ✅ 負担が集中するのは、高3から大学1年にかけて
- ✅ 総額ではなく、「18歳までにいくら」で考える
- ✅ 老後資金を犠牲にしないこと
まず今日、ひとつだけ決めてください。
「18歳の春までに、いくら用意しておきたいか」
その数字が決まれば、月々いくら貯めればいいかは、割り算で出ます。
本記事の数値は、文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」に基づく目安です。教育に関する支援制度は改正されることがあります。最新の情報は各機関の公表資料をご確認ください。
📚 参考文献・出典
- 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査 結果の概要」
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00002.html - 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査結果のポイント」(PDF)
https://www.mext.go.jp/content/20260116-mxt_chousa01-000039333_1.pdf


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