日本人の平均睡眠時間は何時間?世界比較と短い理由を解説

⑥ ビジネスに活きる睡眠

日本人の平均睡眠時間は何時間?世界比較と短い理由を解説

✅ この記事の結論

  • 日本人の平均は7時間54分。ただし子どもや高齢者も含んだ数字です
  • 6時間未満の人が4割近くいます。働き盛りの世代はもっと短い
  • 世界で見ると日本がいちばん短い。欧米とは1時間以上の差があります

「日本人は世界一寝ていない」

そんな話を聞いたことはないでしょうか。

実際のところ、日本人はどれくらい寝ていて、他の国と比べてどうなのか。そして、なぜこんなに短いのか。

数字だけでなく、その裏側にある事情まで見ていきましょう。

🇯🇵 日本人の平均睡眠時間は7時間54分

いちばん代表的なデータが、総務省の「社会生活基本調査」です。

令和3年(2021年)の調査では、10歳以上の1日あたりの平均睡眠時間は7時間54分でした。

「あれ、意外と寝てるじゃん」と思ったかもしれません。

でも、ここには注意点があります。

この数字には、14時間眠る赤ちゃんも、時間に余裕のある高齢者も含まれています。

クラス全員の平均点のようなものです。平均が70点でも、40点の人と95点の人が混ざっていますよね。

働き盛りの世代だけを見れば、この数字よりずっと短くなります。

6時間未満の人が4割近くいる

もっと実態がわかるのが、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」です。

令和元年(2019年)の調査では、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人の割合は、こうなっていました。

  • 男性:37.5%
  • 女性:40.6%

さらに年代別に見ると、男性は30〜50代、女性は40〜50代で4割を超えます

職場を見回してみてください。10人のうち4人が6時間も寝ていない。 これが日本の現状です。

🌏 世界と比べると、どれくらい短い?

OECD(先進国が集まる国際機関)が各国のデータを集めたところ、日本は加盟国のなかでいちばん短いという結果でした。

1日の平均睡眠時間を分で表すと、こうなります。

日本は442分(7時間22分)

次に短い韓国が471分で、アメリカは528分、フランスは513分、イギリスは508分です。

欧米とは1時間以上の差があります。

1日1時間の差は、1年で365時間。1年で15日分、まるまる寝ていない計算になります。

なお、この比較には注意点もあります。国によって調査のやり方や対象の年齢がちがうため、分単位でぴったり比べることはできません。

ただ、日本が下位グループにいるという傾向は、どの調査でも変わりません

👥 年代別・男女別に見ると

日本のデータをこまかく見ると、いくつかの特徴があります。

40〜50代がいちばん短い

睡眠時間は、年代によって山型・谷型に変化します。

  • 10〜20代:時間としては長め。ただし寝るのが遅く、朝がつらい人が多い
  • 30〜50代いちばん短い
  • 60代以降:時間は長くなるが、「夜中に目が覚める」という悩みが増える

30〜50代は、仕事の責任が重くなる時期と、子育てや親の介護が重なる時期です。

朝は子どもの支度、日中は仕事、夜は家事。自分の時間が残っていない。そんな中で、唯一削れるのが睡眠だった、というわけです。

女性のほうが短い年代がある

多くの国では、女性のほうが少し長く眠っています。

ところが日本では、特定の年代で女性のほうが短いという特徴があります。

理由として指摘されているのが、家事・育児・介護の負担のかたよりです。

仕事を終えて帰宅しても、そこから夕飯・洗い物・洗濯・お風呂・翌日の準備。

終わったら23時半。ここから自分の時間を取ろうとすると、寝るのは深夜になります。

🇯🇵 なぜ日本人の睡眠時間は短いのか

原因は「意識が低いから」ではありません。社会のしくみに根っこがあります。

理由1|仕事と通勤で、1日が終わる

日本の労働時間は減ってきていますが、通勤時間を足した「拘束時間」で見ると、まだかなり長いのが現実です。

首都圏では、片道1時間以上の通勤も珍しくありません。往復2時間以上が、生活時間から消えます。

ある会社員の1日を追ってみましょう。

時刻内容
6:30起床
7:20家を出る
8:40出社
19:00退社
20:20帰宅
21:00夕食
22:00入浴・片付け
23:00やっと自由時間

ここから1〜2時間、自分の時間を取ろうとすると、寝るのは深夜1時。翌朝6時半に起きるなら、睡眠は5時間半です。

「自分の時間がほしい」という気持ちと、睡眠が真正面からぶつかっているわけです。

理由2|「寝ないこと」が努力の証だった

「四当五落」という言葉を聞いたことがありますか。

4時間睡眠なら合格、5時間寝たら落ちる。 受験生に向けて言われていた言葉です。

このように、睡眠を削ることが「頑張っている証拠」とされてきた歴史があります。

最近は「睡眠負債」という言葉も広まり、考え方は変わりつつあります。

それでも職場によっては、「定時で帰る=やる気がない」という空気が残っているところもあります。

理由3|寝る前のスマホ

これは日本に限りませんが、影響は大きいです。

問題は2つあります。

  1. 画面の光が、眠気を出すホルモンにブレーキをかける
  2. 終わりが設計されていない

とくに2つ目が厄介です。

本なら「1章読んだら寝よう」と区切れます。

でもSNSは、スクロールしても終わりません。動画は次が自動再生されます。

「あと1本だけ」が3本になり、気づけば30分。やめどきがないように作られているのです。

理由4|休日の「寝だめ」で調整している

平日は5〜6時間、休日は9〜10時間。

日本ではとても一般的なパターンです。

でもこの方法だと、体内時計が週の中で行ったり来たりすることになります。

土曜に昼まで寝る → 日曜の夜に眠れない → 月曜の朝がつらい

海外旅行の時差ぼけと似た状態が、毎週起きているようなものです。

しかも、足りない分をすべて取り戻せるわけでもありません。

😴 寝不足は、社会全体の損にもなっている

睡眠不足は、個人の体調だけの問題ではありません。

寝不足による経済的な損失(仕事の効率低下、欠勤、事故など)は、国のGDPの数%にのぼるという試算があります。日本はその割合がとくに大きい国のひとつとして名前が挙がります。

損失の中身で大きいのは、休むことではありません。

出勤しているのに、力が出ていない状態です。

本人も周りも気づきにくいので、対策が後回しになりがちです。

🚀 平均より短い人が、今日からできること

自分の睡眠が6時間を切っている。そんな方は、何から始めればいいでしょうか。

効果の大きい順に紹介します。

1. 起きる時間を毎日そろえる(最優先)

寝る時間を早めるより先に、起きる時間をそろえるほうが効果的です。

休日も、平日との差は1時間までにおさえます。

「土曜は10時まで寝る」を「8時に起きる」に変えるだけで、月曜の朝がかなり楽になります。

体内時計は朝の光でリセットされます。起きる時間がバラバラだと、リズムそのものが安定しません。ここが土台です。

2. 寝る時間を15分ずつ早める

いきなり1時間早く布団に入っても、眠くないので寝つけません。

15分刻みで、1〜2週間かけて動かします。

3. 寝る前2時間の行動をメモする

削れる時間は、たいていここに隠れています。

1週間だけ「何時に何をしていたか」をメモしてみてください。

「21時に夕食が終わって、23時にお風呂。その間の2時間、何してた?」

思い出せないなら、そこが削れる時間です。

4. 通勤時間を仮眠にあてる

通勤が長い方は、行きの電車での15〜20分の仮眠が現実的な補いになります。

ただし夕方以降の居眠りは、夜の睡眠に響くので避けてください。

5. 同じ時間でも「質」を上げる

どうしても時間が取れない時期は、同じ睡眠時間でも回復度を上げる工夫が有効です。

基本になるのは、起きる時間を毎日そろえること、朝の光を浴びること、寝る90分前にお風呂に入ることの3つです。

🔹 「削られ方」は人によって違う

平均の話だけではイメージしにくいので、3人の1日を見てみましょう。

ケース1|都心に通う30代・営業職のDさん

時刻内容
6:00起床
6:50家を出る
8:10出社
19:30退社
21:00帰宅・夕食
22:30入浴
23:00自由時間
1:00就寝

睡眠5時間。

Dさんが削っているのは、23時から1時の2時間です。ここは1日で唯一、自分のために使える時間でした。

「早く寝ろ」と言われても、そう簡単にはいきません。

改善のヒント:Dさんの場合、往復2時間半の通勤時間があります。行きの電車で20分仮眠を取ることから始めました。

ケース2|共働き・小学生の子どもがいる40代のEさん

時刻内容
5:30起床(弁当・朝食の準備)
8:30出社
17:30退社
18:30保育園・買い物
19:30夕食づくり
21:00子どもの寝かしつけ
22:00洗濯・翌日の準備
23:30やっと自分の時間
0:30就寝

睡眠5時間。

Eさんの問題は、削れる時間がほとんどないことです。自由時間は1時間だけ。

改善のヒント:Eさんのケースでは、家事の分担を見直すことが本質的な解決になります。個人の努力だけでは限界があります。

日本で女性の睡眠時間が短い年代がある背景には、こうした構造があります。

ケース3|地方在住・車通勤の40代Fさん

時刻内容
6:30起床
7:40家を出る
8:00出社
18:00退社
18:30帰宅
23:30就寝

睡眠7時間。

通勤が片道20分なので、それだけで1日2時間近く余裕が生まれています

実際、社会生活基本調査の都道府県別データでも、通勤時間が長い都市部ほど睡眠時間が短い傾向が見られます。

3人を比べてわかること

睡眠時間の差は、意識の差ではありません。

通勤時間、家事の分担、労働時間。環境の差がそのまま出ています。

だからこそ、「もっと早く寝よう」と自分を責めるより、どこに削れる時間があるかを構造から探すほうが現実的です。

❓ よくある質問

Q. 平均が7時間54分なら、7時間半寝ていれば安心?

統計上は平均以下ですが、そもそも平均=ちょうどいい、ではありません

日本の平均が短いこと自体が問題とされています。判断の基準は、平均との比較ではなく日中に眠くならないかです。

Q. 調査によって数字がちがうのはなぜ?

調べ方がちがうからです。

「布団に入っていた時間」を聞く調査と、「実際に眠っていた時間」を聞く調査では、当然結果が変わります。数字を引用するときは、調査名と年をセットで確認してください。

Q. 睡眠時間が短い国は不健康なの?

睡眠時間だけで健康は決まりません。医療制度、食生活、運動習慣など、たくさんの要素が関わります。

ただし個人で見れば、寝不足が続くと健康リスクが上がることは、多くの研究でわかっています。

Q. テレワークだと睡眠時間は増えますか?

通勤時間がなくなる分、増える傾向が報告されています。

社会生活基本調査でも、テレワークをしていた人はしていない人に比べて睡眠時間が長いという結果が出ています。

Q. 都道府県で差はありますか?

あります。通勤時間の長い都市部で短く、地方で長いという傾向が見られます。

Q. 昔の日本人はもっと寝ていたのですか?

社会生活基本調査では、1976年から睡眠時間は減少傾向が続いていました。

ただし2021年の調査では増加に転じています。テレワークの普及などが影響したと考えられています。

Q. 睡眠時間が短いのは日本の文化だから仕方ない?

「仕方ない」で終わらせると、健康リスクだけが残ります。

個人でできることと、職場や家庭で変えられることを分けて考えるのが現実的です。

📝 まとめ

  • ✅ 日本人の平均睡眠時間は7時間54分(10歳以上の全年齢の平均)
  • ✅ ただし6時間未満の人が4割近く。働き盛りはもっと短い
  • ✅ 世界で見ると日本が最下位。欧米との差は1時間以上
  • ✅ 短い理由は、長い拘束時間・寝ない美徳・寝る前のスマホ・休日の寝だめの4つ
  • ✅ 最初の一歩は、起きる時間をそろえること

平均と比べることが目的ではありません。

自分に足りているかどうかを確かめるところから始めてください。

この記事で紹介した統計は、公表している機関によって調査の方法や年がちがいます。数字を引用される場合は、各機関の最新の資料をご確認ください。

📚 参考文献・出典

  1. 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果」
    https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/kekka.html
  2. 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 結果の概要」(PDF)
    https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/pdf/gaiyoua.pdf
  3. 厚生労働省「国民健康・栄養調査 1日の平均睡眠時間」(政府統計 e-Stat)
    https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003224280
  4. nippon.com「40代の半数、睡眠時間は6時間未満:OECD調査でも世界最短水準」
    https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00424/
  5. 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html

コメント

タイトルとURLをコピーしました