レム睡眠とノンレム睡眠の違いとは?90分周期の仕組みを図解
✅ この記事の結論
- レム睡眠は「体が休んで、脳が働いている」眠り
- ノンレム睡眠は「脳が休んでいる」眠り
- 「90分周期」はぴったりではありません。80〜120分と人によってバラバラです
- 深い眠りは前半、レム睡眠は後半に多い。睡眠を削ると、まずレム睡眠が減ります
こんな2つの朝、どちらも経験があると思います。
Aの朝:目覚ましが鳴った瞬間、パッと目が開いた。夢の内容もはっきり覚えている。
Bの朝:目覚ましが鳴っても、何が起きたのかわからない。頭が重くて、しばらく動けない。
同じ7時間寝ても、こんなに差が出ます。
このちがいをつくっているのが、レム睡眠とノンレム睡眠です。
この2つがわかると、目覚めがいい日と悪い日の理由から、寝不足がなぜ怖いのかまで、ひとつにつながって見えてきます。
⚖️ まずは違いをひと目で
こまかい話の前に、全体像を見ておきましょう。

表にすると、こうなります。
| くらべる点 | ノンレム睡眠 | レム睡眠 |
|---|---|---|
| 脳の状態 | 休んでいる | 起きているときに近い |
| 体の状態 | ある程度、力が入っている | ほとんど力が抜けている |
| 目の動き | ほとんど動かない | まぶたの下でキョロキョロ動く |
| 夢 | 見ても断片的 | ストーリーのある夢を見やすい |
| おもな仕事 | 体の修理、成長ホルモン | 記憶と気持ちの整理 |
| 一晩の割合 | 約75〜80% | 約20〜25% |
| 多く出る時間帯 | 眠りの前半 | 眠りの後半 |
ちなみに「レム」は、目が素早く動く(Rapid Eye Movement)の頭文字です。
寝ている人の顔をよく見ると、まぶたの下で目玉がキョロキョロ動いていることがあります。あれがレム睡眠の最中です。
まずこの目立つ眠りが見つかり、それ以外をまとめて「レムじゃない眠り=ノンレム」と呼ぶようになりました。
😴 ノンレム睡眠:脳を休ませる眠り
ノンレム睡眠は、脳そのものを休ませるための眠りです。深さによって3段階に分かれています。
N1:うとうとしている段階
眠りの入り口です。声をかけられれば、すぐ反応できます。
電車で座っていて、カクンと頭が落ちる。あの状態です。
本人は「寝てない、ちょっと目を閉じてただけ」と思っていることも多いです。
ときどき体がビクッと跳ねることがありますが、これは多くの人に起こる普通の反応で、心配いりません。
N2:ちゃんと寝ている段階
一晩でいちばん長いのがこの段階で、全体の約半分を占めます。
外の音でかんたんに起きないよう、眠りを守る働きが始まります。記憶を残す作業にも関わっていると考えられています。
N3:いちばん深い段階
いわゆる「ぐっすり」がこれです。
この段階では、ちょっとした物音では起きません。
宅配便のインターホンが鳴っても気づかなかった。 そんな経験があれば、それはN3の最中だった可能性が高いです。
そして無理に起こされると、しばらく頭がぼーっとして、状況がのみこめない状態になります。
冒頭の「Bの朝」がこれです。たっぷり寝たのに起きた瞬間が最悪、というあの感じは、ここで目覚ましが鳴ったときに起こります。
さらに大事なのが、成長ホルモンがいちばん多く出るのがこのN3だということ。体の修理は、ここで進みます。
なお、寝言や、子どもが寝ぼけて起き上がってしまう現象は、この深いノンレム睡眠から中途半端に起きたときに起こります。夢を見ているから動いている、というわけではないのです。
😴 レム睡眠:体は寝て、脳は働く眠り
レム睡眠は、ちょっと不思議な状態です。
体はしっかり休んでいるのに、脳は起きているときとほとんど同じくらい活発に動いています。
なぜ体の力が抜けるの?
レム睡眠のあいだ、首から下の力はほとんど抜けています。
これは夢のとおりに体が動いてしまわないための、安全装置です。
車でいうと、エンジンはかかっているけれど、ギアがニュートラルに入っている状態。
脳が夢の中でどれだけ走っても、タイヤには伝わりません。
もしこの安全装置がきかないと、夢のまま体が動いてしまいます。実際にそうなる状態もあり、大声を出す、隣の人をたたく、ベッドから飛び出すといったことが起こります。中高年の方でこうした症状がある場合は、一度受診をおすすめします。
金縛りの正体
金縛りは、こわい現象ではありません。
体の力が抜けたまま、意識だけが先に戻ってしまった状態です。
つまり、エンジンはかかったのに、ギアがニュートラルのまま。
脳は起きているのに、体は動かない。そこにレム睡眠特有の生々しいイメージが重なるので、「誰かがいる」「押さえつけられている」と感じます。
徹夜明けや、旅行先で慣れない時間に寝たときに起こりやすいのは、生活リズムが乱れているからです。
レム睡眠がしていること
- バラバラの記憶をつなげて、意味のあるかたちにする
- 体で覚えたことを身につける
- 強い感情をやわらげる
たとえば、自転車の練習。
練習した日はうまく乗れなくても、次の日にいきなり乗れるようになった。そんな経験はありませんか。あれは寝ている間に、体の動きが整理されたからです。
もうひとつ。嫌なことがあった日。
寝る前は「もうダメだ」と思っていたのに、翌朝には少しだけ落ち着いている。「一晩寝たら気が晴れた」というあれにも、レム睡眠が関わっていると考えられています。
🌛 一晩の眠りの流れを見てみよう
2つの眠りが、一晩でどう入れかわるのかを図にしました。

この図から、大事なことが3つ読み取れます。
① 深い眠りは、前半に集中している
いちばん深いN3が出てくるのは、最初の2〜3時間だけです。3回目のセット以降は、ほとんど出てきません。
「最初の90分が大事」と言われるのは、この最初の深い眠りがいちばん深く、成長ホルモンもここに集中しているからです。
② レム睡眠は、朝に近づくほど長くなる
1回目のレム睡眠は、たった数分〜10分ほど。ところが朝方になると、1回で20〜30分と長くなります。
つまり、睡眠時間を削ると、まっさきになくなるのはレム睡眠です。
ここが誤解されやすいところです。
「8時間寝るところを6時間にした。2時間減っただけ」
そう思いますよね。でも実際は、削った2時間のほとんどがレム睡眠です。均等に減るわけではありません。
つまり、記憶の整理と気持ちの整理が、まっさきに削られます。
寝不足の日に、覚えられない・イライラする、というのはこのためです。
③ 夜中に目が覚めるのは、異常ではない
図をよく見ると、途中で起きる高さまで浮かび上がっているところがあります。
健康な人でも、一晩に何度か浅く目が覚めています。
ほとんどは記憶に残らないので、本人は「朝まで寝ていた」と思っています。
夜中に一度トイレに起きた、寝返りを打ったときに目が開いた。これだけなら問題ではありません。
気にすべきなのは、そこから30分以上眠れない日が週に何度もあり、日中つらいときです。
🔄 「睡眠は90分周期」は本当?
よく聞く「90分の倍数で寝るといい」という話。これは、半分正しくて半分まちがいです。
周期の長さは人それぞれ
眠りのセットは、だいたい80〜120分。同じ人でも、一晩の中で長さが変わります。後半のほうが長くなる傾向があります。
さらに、寝つくまでの時間も日によってちがいます。
たとえば、6時間ぴったりで起きようと逆算して、24時に布団に入ったとします。
- 疲れていて5分で寝られた日 → 実際の睡眠は5時間55分
- 考えごとで30分眠れなかった日 → 実際の睡眠は5時間30分
同じ時間に布団へ入っても、25分ずれます。90分きっかりで計算する意味は、ほとんどありません。
では、どうすればいい?
大事な順に3つです。
- 自分に必要な睡眠時間をとる(多くの大人は7時間前後)
- 起きる時間を毎日そろえる
- そのうえで、目覚めが悪ければ少し調整する
90分の倍数に合わせるために、睡眠を6時間に削る。これは本末転倒です。
目覚めのよさより、寝た総量のほうがずっと大事です。
なお、スマートウォッチやアプリの「いいタイミングで起こす」機能は、体の動きや心拍から眠りの深さを推測しています。参考にはなりますが、正確さには限界があります。
🧠 「レム睡眠が少ない」と出たときは
アプリを使っていると、「レム睡眠が少ない」という表示が気になることがあります。
レム睡眠が減る主な原因
- 睡眠時間が短い:後半に多いので、まっさきに削られます
- お酒:レム睡眠を減らす働きがあります。飲み会の翌朝、寝た気がしないのはこれです
- いびき・無呼吸:呼吸が乱れて何度も目が覚め、深い眠りにもレム睡眠にもたどりつけません
反対に、前の日までレム睡眠が足りていないと、その反動で一時的に増えることもあります。
そして大前提として、市販の機械が出す数値は、病院で測る検査ほど正確ではありません。
「スコアが62点だった」と落ち込む必要はありません。
1日ごとの数字より、1〜2週間の平均と、日中の眠気やだるさという体感を合わせて見るほうが役に立ちます。
🌛 一晩を時計で追ってみる
言葉だけだとイメージしにくいので、23時に寝た人の一晩を追ってみましょう。
23:00|布団に入る
まだ起きています。ここから寝つくまで、平均して10〜20分ほどかかります。
23:15|N1(うとうと)
意識が薄れてきます。この段階で声をかけられると「まだ起きてた」と答える人が多い時間帯です。
23:20|N2(本格的な睡眠)
外の物音が気にならなくなってきます。
23:40〜0:30|N3(いちばん深い眠り)
この日いちばん深く眠っている時間帯です。
このとき、宅配便のインターホンが鳴っても気づきません。体の修理が進み、成長ホルモンが多く出ています。
0:40|1回目のレム睡眠(5〜10分)
短い夢を見ています。でも、朝には覚えていないでしょう。
0:50〜2:00|2周目
またN2、N3と深くなります。ただし、1周目ほど深くはなりません。
3:00|2回目のレム睡眠(15分ほど)
さっきより長くなりました。
4:00〜6:00|3〜4周目
この時間帯には、もうN3はほとんど出てきません。 浅いN2とレム睡眠が中心になります。
6:20|最後のレム睡眠(20〜30分)
いちばん長いレム睡眠です。ここで目覚ましが鳴ると、夢の内容をはっきり覚えていることが多くなります。
7:00|起床
こうして見ると、「前半で体を直して、後半で頭を整理している」流れがよくわかると思います。
そして、もしこの人が5時に起きたらどうなるか。
最後の長いレム睡眠が、まるごと失われます。
これが「睡眠を削るとレム睡眠から減る」ということの、具体的な中身です。
❓ よくある質問
Q. 毎日夢を見ます。眠りが浅いのでしょうか?
そうとは限りません。夢はほぼ毎晩見ています。
覚えているかどうかは、起きたタイミング次第です。目覚まし時計で起こされる人が夢を覚えやすいのは、レム睡眠の途中で無理やり起こされることが多いからです。
Q. 深い眠りを増やすには?
適度な運動、寝る1〜2時間前のお風呂、寝る前のお酒を控えることなどが効きます。深い眠りは寝ついてすぐの2〜3時間に集中しているため、寝入りばなをじゃまさないことが大切です。
Q. 昼寝でもレム睡眠になりますか?
20分ほどの昼寝では、浅い段階までしか行きません。
逆に1時間以上寝ると深い眠り(N3)に入ってしまい、起きたときに頭が働かない状態になります。「昼寝したら余計にだるくなった」というのはこれです。昼寝は15〜20分がちょうどいいとされるのは、そのためです。
Q. 「コア睡眠」って何ですか?
機械によって呼び方がちがいますが、ノンレム睡眠の中心部分(N2)を指すことが多い表現です。医学の正式な用語ではないので、お使いの機器の説明を確認してください。
Q. 夜中に目が覚めたら、眠りはリセットされますか?
いいえ。ゼロからやり直しにはなりません。
ただし、深い眠りは前半に集中しているので、夜中に長く起きてしまうと、その後に深い眠りが戻りにくいことはあります。
Q. 二度寝のとき、どの段階に入っていますか?
朝方は深い眠りが出にくい時間帯なので、多くはN1〜N2の浅い段階です。
短い二度寝で目覚めが悪くなるのは、この浅い段階から起こされるためと考えられています。
Q. お酒を飲むと夢を見ないのはなぜ?
アルコールにはレム睡眠を減らす働きがあります。
飲んだ日の前半にレム睡眠が減るため、夢を覚えていないことがあります。ただし後半で反動が出て、明け方に目が覚めやすくなります。
Q. 昼寝と夜の眠りは、中身が同じですか?
違います。20分程度の昼寝では、浅い段階までしか到達しません。
深い眠りもレム睡眠も、夜のまとまった睡眠でしか十分には取れません。
📝 まとめ
- ✅ ノンレム睡眠は脳を休ませる眠り。3段階あり、いちばん深いN3で成長ホルモンが出る
- ✅ レム睡眠は体を休めながら脳が働く眠り。記憶と気持ちを整理している
- ✅ 眠りのセットは80〜120分とバラバラ。「90分の倍数」にこだわる必要はない
- ✅ 深い眠りは前半、レム睡眠は後半。寝る時間を削ると、レム睡眠から失われる
- ✅ 冒頭の「起きた瞬間が最悪な朝」は、深いN3の途中で目覚ましが鳴った日
眠りのしくみがわかると、「何時間寝ればいいの?」という疑問の答え方も変わってきます。
大人に必要な睡眠時間の目安は7〜9時間ですが、必要な量には個人差があります。休日に目覚ましをかけずに眠ってみると、自分の適量がわかります。
この記事は一般的な情報をお伝えするものです。寝ている間の異常な行動や、強い眠気が続く場合は、睡眠外来などの医療機関にご相談ください。
📚 参考文献・出典
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html - 厚生労働省 e-ヘルスネット「休養・こころの健康」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart - 厚生労働省 e-ヘルスネット「眠りのメカニズム」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-002.html - 厚生労働省 e-ヘルスネット「健やかな睡眠と休養」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart-summaries/k-01


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